ゾンビは腐っていない?
「ゾンビ」と聞けば、アメリカのホラー映画に登場する、腐った死体を想像する人が多いでしょう。しかし、実はゾンビは腐ってはいません。そう、ゾンビは決してフィクションの世界だけに存在するものではなく、実際にゾンビを作っている宗教が存在します。 それがブードゥー教。人形に針を刺す呪術でも有名なブードゥーは、現代でもゾンビを作るといわれています。その方法を紹介しましょう。
ゾンビを作るためには、まずゾンビパウダーが必要です。用意するものと作り方は以下の通り。
▼用意するもの【A】 | (ピエルトネール=稲妻の霊ソボとシャンゴによって作られた神聖な石)に呪いの液(アルコール)をかけ、粉々に砕いたもの。死体の骨(ゾンビにする死体とは別のもの)をすり潰した粉、トカゲ、ヒキガエル、ねむの木、ボア・グラテ(痒い豆)、フグ。 |
【B】 | バヤボンドの葉一つかみ、アヴェの枝2本、レモン3個 |
【C】 | 肌がかぶれる植物4種類、幻覚作用のある植物2種類 |
▼作り方
【A】の材料をボールに入れ、手袋をして、触れないようにしながらしっかりと混ぜます。 次に解毒剤として、【B】を粉末にしてつぼに入れ、二日間ほど地下に埋めておきます。さらに【C】を混ぜ合わせます。
そして、ゾンビにしたい相手の家の前へ、ゾンビパウダーを十字架の形にしてまきます。すると、その粉の毒が足から吸収され、相手は顔色が悪くなって感覚が狂い、そのまま死んでしまうといわれています。 その後、死亡が確認され、土葬された相手を密かに掘り出し、解毒剤を与えます。長い間埋葬された後だと死体が腐敗してしまったり、発掘前に目を覚まして生き返ったりする恐れがあるため、埋葬後すぐに行うといいでしょう。
ブードゥーでは死んだらロア(ブードゥーの神)になったり、生まれ変わったりすると考えられていますが、ゾンビになったら、それもあり得ません。ゾンビにされるのは死ぬよりも恐ろしい刑罰なのです。 そして、ゾンビは生前に罪を犯した者への罰であり、ゾンビにされる恐怖が社会的秩序を守っているという側面もあるのです。