黒魔術について
私は魔術師アルテミシアの孫弟子に当たります。私の師匠もこの世界ではとても有名な魔術師であり、その弟子として修行をさせていただいておりますが、知れば知るほどに魔術の世界は奥が深いと常々感じられます。一般的に魔術と言えば、どんよりとしたイメージしか湧いてこないかもしれません。しかし、魔術にも色々と種類があり、一流の魔術師は様々な魔術を使い分けることが可能です。もちろん、本物の魔術師は見事に人の願望を叶えてしまうのです。
魔術をよく知らない方のために、簡単なご説明をさせていただきます。
現代魔術は、おおむね二種類に分かれます。黒魔術と白魔術です。意外と、この二つの単語をご存知の方は多いのではないでしょうか？黒魔術や白魔術はゲームのRPGなどでもたびたび登場していますが、現代魔術だと少々用途は異なります。
そういったエンターテイメントの方から知識とした人は、白魔術は善・黒魔術は悪というイメージがあるでしょう。もっともこのイメージ、一概に間違いとは言えないのです。ゲームでも白魔術では回復魔法、黒魔術は攻撃魔法という形に部類分けされておりますが、現代魔術でもこの概念は大体同じです。と言うのも、黒魔術は相手を呪い、自分の嫌いな人を苦しませる方法として活用することができるからです。一流の黒魔術師は、依頼者の相談を見事に実現してしまいます。つまり、黒魔術は人を攻撃する魔術と考えて間違いはありません。
例えば、大嫌いな上司が職場にいる場合、誰しも一度は「いなくなればいいのに…」と願うことがあるかと思います。まだ一度もそのような思いを抱いたことがない方には、黒魔術は必要ないでしょう。他人に対して嫌悪感や憎悪、憎しみを抱いても問題はありません。人間には誰しも善の心と悪の心があるものです。これは魔術の世界でも同様でございます。
少々話がそれてしまいました。つまり黒魔術は、自分の毛嫌いしている人間を遠ざけ、呪うことができるのです。ストレス社会と呼ばれる現代では、黒魔術の需要が大変高いのです。もちろん、中には黒魔術の存在を毛嫌いし、「黒魔術はインチキで、何の効果もない！」と公言している人がいらっしゃるのも存じております。しかし、そのような人は本物の魔術師をご覧になったことがないのでしょう。それはとても残念なことであり、少々損している気がします。魔術の世界を知っているだけで世の中の見方が大きく変わってくるのですから。人に暴力を加えるのはもちろん犯罪です。しかし、黒魔術で相手を苦しめることができれば、どれだけストレスが軽減されるでしょうか？誰しも心の闇や葛藤を抱いているはず。どんなに人格が優れている人でも、裏ではどのような考え方をしているか分かりません。物は使いようという言葉がございまして、黒魔術もこの言葉にピッタリあてはまるのです。また、強欲で作業員を家畜の如く働かせ、自分だけは利潤を貪り食えばいいという、自分勝手な考え方をしている方もいらっしゃいます。もし、そのような人に対して復讐をすることができれば、どれだけ心が晴れていくでしょうか。いえ、人を苦しめることを推奨しているわけではありません。法律は守らなければいけませんし、人道に外れた行為はやってはいけないのです。
しかし、見方を変えてみましょう。自分だけが蜜を味わえばいいと考えている人間に悪魔を与えれば、ある意味では正義の鉄槌を加えることになりませんか？この世の中は巡り巡って自分の行動が結果に反映されるものです。悪人を成敗するために、実力のある魔術師に悪魔を召喚してもらうのも悪い選択肢ではありません。そうそう、黒魔術では呪いが頻繁に活用されますが、これがまた使用勝手がいいのです。先ほども申し上げましたが、法律は守る必要があります。しかし、特定の相手を呪うのは法律違反ではないのです。黒魔術を使用したからといって罰せられることはありません。心置きなく、憎む相手を成敗することができるでしょう。
黒魔術は簡単に人を呪うことができるので、呪いたい相手がいる場合は黒魔術に頼るのがいいでしょう。憎む相手を苦しむところを見るのはこの上ない快感であり、その姿を何度も見たくて黒魔術の虜になってしまう方もいらっしゃるほどです。ただ、黒魔術を実行するには悪魔を呼び寄せる必要があります。この悪魔が曲者で、召喚した人間の弱みを握ろうとするのです。そのため、一流の魔術師でないと悪魔に心を奪われてしまうのです。 これは依頼者に関しても同様であり、悪魔は召喚を依頼した人のことを忘れません。そのため、悪魔を上手い具合に操ることのできる実力派の魔術師に、黒魔術を依頼するのが一番だと思われます。その点は、十分にお気をつけくださいませ。
